やんばるエコフィールド島風

【SDGsへの取り組み 沖縄】外来種防除作業への参加で、東村の今ある風景をいつまでも守りたい。

【SDGsへの取り組み 沖縄】外来種防除作業への参加で、東村の今ある風景をいつまでも守りたい。

SDGs

到着地から目の前に広がるマングローブの絶景、慶佐次川に「ツルヒヨドリ」発見

やんばる国立公園東京ドーム約2個分、沖縄本島最大のマングローブが広がる慶佐次川。

到着場所から、目の前には素晴らしい絶景が広がり、国の天然記念物に指定されている貴重なエリア。

そんな場所が未来に消えてしまうのではというほどの強い繁殖力を持つ植物「ツルヒヨドリ」が、慶佐次川上流で見つかったのは、2018年でした。

ツルヒヨドリ

2018年、慶佐次川上流での写真です。

「沖縄県では、沖縄県内に定着しており、

生態系への影響が大きいことから重点的に駆除等の防除を実施する必要がある外来種を

「重点対策種」として指定しています。

ツルヒヨドリは在来植物への被圧等の影響が大きいことから、重点対策種に指定されています。」~沖縄県外来種対策行動計画に基づく ツルヒヨドリ 防除計画より~

自然案内ガイドたちと、専門家の方と初めて確認しに行ったとき、かなりの量に愕然としたことを覚えています。

「これは、完全に取り切るまで、何年もかかるのでは・・・。」と思いました。

 

 

特定外来生物「ツルヒヨドリ」ってどんな植物?

ツルヒヨドリツル性の植物で、繁殖力が強く、他の植物に覆いかぶさることで、下に日が当たらなくなり、在来植物や、農作物を枯らしていくことが報告されています。

除去方法に難しさ、大変さがあるのは、

 

「短いツル、少しの根だけでも土に残してはいけないこと」です。

短いツル、または少しでも根が土に残っていると、そこから再生してきてしまうのです。

 

これが、完全に除去するまでの道のりが難しく、簡単に終わったと、気を抜けない理由です。

「根こそぎ」とらないといけないのです。

 

 

慶佐次川でのツルヒヨドリ除去作業の始まり

沖縄県の重点対策種に指定されていることもあり、外来種除去のプロの方々が何度も作業に来てくれるように。

その方々から指導を受けながら、東村のガイドたちも作業に加わることに。

・少しのツルが土に落ちただけでも、再生するので、全体を引きちぎったりして、ツルを落とさないこと。

・根からも再生するので、ツルを下へたどりながら、根を探し、土から根を全て取り除くこと。

・繁茂しているところでは、引きちぎらず、まず、

①どんどんツルを切る。土についていなければ、切った上部のツルは枯れる。

②切ったところからツルを下へたどり、根を探し、土から根を全て取り除く。

茂みの中に、潜りながら、何時間も、地道な作業が続きました。

ツルヒヨドリ

地道な作業を続けた結果、

2022年現在、ツルヒヨドリが繁茂していた慶佐次川上流で、ツルヒヨドリの復活は見られません。

すごい。。。やったぁ(^^♪

と思っていましたが・・・。

 

 

現在も東村内で続くツルヒヨドリ除去作業。東村ガイドたちと、地域の方々とも。

ツルヒヨドリ慶佐次川ではない場所、東村内で、ツルヒヨドリの生息情報が入ってきました。

ツルヒヨドリの種は、風で運ばれるし、また、短いツルでも靴の裏についていることで、人が他の場所へ運ぶこと可能性も大いにあります。

まだまだ安心はできません。

NPO法人東村観光推進協議会から沖縄県への補助金の申請が通り、「作業日当」が頂けることになり、東村の地域の方々へも募集をかけ、除去作業を地域の方々と活動するという動きになりました。

・地域の方々へも、ツルヒヨドリについての知識を広めることができる。

ツルヒヨドリは、早期発見で、正しい方法で除去することがとても大切なため、正しい知識を地域の方々へ広めることは、予防対策となります。

 

・作業日当は地域の方々にとって大切な収入源となる。

コロナ禍で、東村への観光客は激減しています。観光での収入、農作物の販売の収入も落ち込む中、作業日当がでることは、地域の方々にとって、大切な部分だと思います。

 

 

今の東村の風景を未来へ残したい。自然は東村の宝。

外来種を駆除していく作業って、植物だけでなく、動物に対してもありますよね。

「駆除されていくことって、その種がなんか、かわいそう。」

そう思われることもあるかと思います。ただ、かわいそうだからと、何もしなければ、

何百年も昔から(もっと昔からも)、ずっとある東村の風景がなくなってしまい、東村らしさがなくなってしまうのです。

慶佐次川マングローブカヤック

例えば、慶佐次川のマングローブがなくなってしまったり、

世界自然遺産に登録された森のエリアにある希少種がなくなってしまったり、

特産品である東村のパインの畑を消すことになる可能性もあります。

それは、東村らしさ、沖縄本島北部やんばるらしさを消すことになるのです。

生態系を守るという意味だけでなく、地域らしさを守ることは、観光資源を守り、地域の大切な産業を守ることに繋がるのです。

慶佐次川マングローブカヤック

スーパーなし、リゾートホテルなし、インターネットのネットワークも、携帯電話の電波ですら、非常に悪い東村の状況の中で、

仕事が何でもある、何でもできるという場所ではありません。

農業や、漁業という一次産業だけでは、若者が村に残らず、どんどん村外へ出て行ってしまうのが、今も課題となっている東村。

観光から生まれる様々なスタイルの地域経済があり、様々な仕事を選択できることは、東村の未来を明るくするのではないでしょうか。

観光に来て頂ける魅力的な「東村らしさ」を残すためにも、自然保全活動にしっかり取り組み、

自然と共生しながら人が生きていくスタイルが、東村らしさであり、それが、今の時代、他の地域と差別化できる素晴らしいポイントになってくるのでは。と思います。

 

このツルヒヨドリ除去作業に何度も何度も携わって、そんなことを改めて考えました。

 

 

やんばるエコフィールド島風のSDGsへのチャレンジ↓

「【SDGsへの取り組み 沖縄】ビーチクリーンで自然への恩返し活動を。」はこちら>>>

「【SDGsへの取り組み 沖縄】お客様から頂いた売り上げの一部を環境協力金へ寄付しています。」はこちら>>>

 

 

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この記事を書いた人

永西由実

大阪出身。大学時代は大阪府立青少年海洋センターにて、セーリングなど、マリンプログラムに携わる。その後、小学校教師、JICA青年海外協力隊を経て、2013年に沖縄へ移住。 ・赤十字水上安全法救助員Ⅰ ・沖縄マリンレジャーセイフティービューロー認定水難救助員 ・NPO法人沖縄県カヤック・カヌー協会認定ガイド ・一級小型船舶操縦士免許 ・WAFA(Wilderness Advanced First Aid)取得 ・Leave no trace トレーナー取得

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“【SDGsへの取り組み 沖縄】外来種防除作業への参加で、東村の今ある風景をいつまでも守りたい。” への1件のコメント

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