沖縄の伝統木造船「帆かけサバニ」造船REPORT⑤
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沖縄の伝統木造船「帆かけサバニ」造船REPORT⑤
船底「スクジー」の形成
2017年7月31日
船底部分の形成。墨でラインを入れて削ります。どこをどのように削れば、どんな走りをするのか?
「新城さんはね、前回のサバニの写真をみて、こんなこといってたよ。」
大工さんの師匠の言葉を思い出したり、自分が製作した船を乗った経験、昔のサバニを見たり乗ったりした経験、いろいろな積み重ねが、墨のラインを決めていきます。大工さんの頭の中には、このサバニが海で走る様子があるのでしょう。それでも、悩みながらの様子も見られます。どんな走りをするのかの検証は、きっと、大工人生ずーっと、ずーっと、続いていくのではないでしょうか・・・。
この後は、またまた難しい分銅(板と板とのつなぎ目をつなぐクサビ)入れ作業となります。底板とカド、カドと舷側板、板と板のつなぎ目にたくさんの分銅が入ります。全部で約300個くらいといわれています。今回はカーブのあるところに入れていくので、かなり難しそう。た、楽しみです。わくわく。
船のカーブに合わせて「ふんどう」くさびを入れます
2017年8月8日
金属のクギはゼロの木造船。サバニ。
固いイヌマキの木が、クサビとなり、木と木をつなぎます。
この、7m50cmのサバニのサイズでは、約300個の分銅(クサビ)が入ります。
「1個につき、約10分だな。。。」とつぶやく大工さん。
ということは・・・かける300個で・・・。
8月10日
分銅(木と木とつなぐクサビ)入れ作業進んでおります。訪問された方からの質問。
「この分銅は、板を貫通しているの?」
いいえ、違います。板の厚さの約半分のところまで穴をあけ、そこにはめます。
現在は、船の外側から入れています。内側からは、もちろん、同じところに入るのではなく、ずらした位置に分銅が入ります。互い違いに。
カーブが強度作る竹釘
2017年8月12日
「ツバノミ」という、カーブしたノミで穴をあけ(深さ約10cmくらい)、竹釘を入れます。「もうそう竹」という固い竹が、厚さ約4cmの板にうまくカーブしながら入っていきます。
板を突き抜けるのではありません。4cmの厚みの中へ入って止まります。すごい。カーブさせることで、さらに抜けにくくなっています。男性がおもいきり引っ張っても、何をしても抜けません。
竹釘ってどんなもの?よく聞かれます。叩いて入れた後、切るので、切った後をみても、あまりイメージがわきません。
こんな感じ。
先が削られています。
手前部分を削り、後ろを残します。
まっすぐ差し込むのではなく、カーブして入っていくので、強度が増します。
保管は、サラダ油につけて、カビを防いでおきます。
サバニをひっくり返し、内側を削る
2017年8月15日
サバニがいよいよひっくり返りましたよ。
今度は内側を削り、その後は内側への分銅(クサビ)入れとなります。凹凸がなくなり、美しいカーブができてきます。
前の部分に削られていない、高さのある部分があります。これは、帆柱を立てたときにそれが入る穴を空けます。
それ以外の部分は、滑らかにカーブになっています。
お家や、家具を造っている、大工さんが南部から訪問してくれました。話題はサバニから、木の話に。
サバニの分銅(クサビ)に使われているイヌマキの木や、マストを差し込むウシカキに使われているテリハボクの木が、少なくなってしまった…。テリハボクは、沖縄本島では手に入らない。八重山諸島なら手に入る。
木って、材木として売りに出せるまで、時間がかかる。。。目に見える結果を出せるのは、何十年も先。何百年後の未来のために、今、植えるという事業をすることは企業でも、行政でも、ボランティアでも、多くはないのでは。
サバニを通して、自然環境を考える大切な時間になりました。
自分には何ができるか。意識していこうと思います。
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